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腸は「第2の脳」「考える臓器」と呼ばれています。脳からの指示がなくても腸が自ら判断できる臓器だからです。腸には、脳に次いで多い約1億個の神経細胞が存在しています。腸神経系というネットワークを形成して、あたかも独立した“脳”があるように機能しています(*10)。
さらに、腸内に生息するいわゆる腸内細菌が重要です。ストレスを感じたときに分泌されるコルチコステロンという物質の量を減らしたり、ストレスによる脳のダメージを減らしたりしています (*11)。腸で作られる物質(ドーパミンやセロトニン)が脳に届けられることで幸せを感じるなど、腸と脳が綿密に連携し、情報伝達していることもわかってきています。
腸の働きを良くしておくことは、メンタル面や脳にとっても重要なことです。お腹の健康と心の健康はつながっているのです。
同じような環境下で生活していても、かぜをひきやすい人とそうでない人がいます。個々人の「免疫力」が関係しています。免疫力とは、ウイルスや細菌などの病原体から身を守るための防御システムです。体内ではいろいろな免疫細胞が体の防御を行っています。そのおかげで、私たちは健康を維持できているのです。
出典:「腸内革命ー腸は、第二の脳である」藤田紘一郎著
免疫細胞が最も多く存在する場所、それが腸を中心とした消化器官です。胃や腸には、飲食物とともに病原菌や有害物質が入り込みます。腸の表面(粘膜)では、飲食物からは栄養を吸収しつつ、一方で病原菌などの吸収はせず便として体外に排出しています。そんな働きが求められる消化器官に免疫細胞が多く集まるのは当然のことです。ウイルスなどを攻撃するリンパ球や抗体など、ヒトの免疫システムの約60%が消化器官に集中しているといわれています(=腸管免疫系)(*12)。
そうした腸管免疫系を活性化するのが、乳酸菌などの善玉菌です。善玉菌は,食物繊維をエサにして「短鎖脂肪酸」を作り出します。この短鎖脂肪酸が腸内の環境を正常に保っているのです。腸内がアルカリ性になるのを防ぎ病原菌の増殖を抑制したり、毒性物質が体内に入るのを防ぐ「腸のバリア機能」を高めたりしています。また、老化や病気の原因となる炎症反応やアレルギー反応などを抑制することもわかっています。
腸の免疫は、腸内環境を良くしておくことで正常に機能します。水溶性と不溶性の食物繊維をバランス良く含むプルーンを継続的に摂取すれば、腸内細菌による免疫力の維持・向上が期待できます。
腸の健康に欠かせないのが、食物繊維です。食物繊維には、「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」の2種類があり、それぞれの働きには違いがあります。
不溶性食物繊維は、水に溶けない食物繊維で、便のかさを増し、腸を刺激して排便を促します。また、発がん性物質などの有害物質を吸着して排出する作用もあります。
一方、水溶性食物繊維は、水に溶ける食物繊維です。水分を含むとゲル状に変化し、便をやわらかくして便通を良くするのに役立ちます。また、腸の表面(粘膜)を守る作用や,善玉菌のエサとなり善玉菌を増やす作用もあります。腸内環境を整えてくれるのです。さらに、炭水化物(糖質)の消化・吸収を緩やかにすることで食後血糖値の急上昇を防ぐ効果や、余分な脂肪を排出して血中コレステロールの増加を抑える効果もあります。
プルーンは、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維を約50%ずつバランス良く含みます。4~5粒(約40 g)で、摂取目標量(日本人成人)の約15%が摂取できる貴重な食品といえます。また、プルーンに含まれる水溶性食物繊維ペクチンは、善玉菌のエサとなり、腸内環境の改善や便秘の予防・改善に役立ちます。プルーンを3週間継続摂取したところ、慢性的な便秘患者さんの排便回数の増加や、便の硬さスコアが改善したという研究結果もあります(*13)。
食物繊維が多い果物ランキング
プルーンは、2種類の食物繊維を
バランスよく含む商品
可食部100gあたりの含有量、すべて単位はg
水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | 総量 | |
---|---|---|---|
乾燥プルーン | 3.4 | 3.8 | 7.2 |
プルーン(生) | 0.9 | 1.0 | 1.9 |
りんご | 0.3 | 1.2 | 1.5 |
干しぶどう | 1.2 | 2.9 | 4.1 |
乾燥バナナ | 2.0 | 5.0 | 7.0 |
干し柿 | 1.3 | 12.7 | 14.0 |
アボカド | 1.7 | 3.6 | 5.3 |
出典:「炭水化物&食物繊維 糖分ランキング」エクスナレッジ
プルーンに含まれる炭水化物の大半は、食物繊維と「ソルビトール」です。
保水力に優れたソルビトールは、便の水分量を増やし、便をやわらかくして便通を良くする働きがあります。
プルーンは、豊富な食物繊維とソルビトールの相乗効果で、優れた整腸作用や便秘解消効果を発揮します。ただし、ソルビトールは便秘薬(緩下剤)の成分として使われることがあります。大量に摂取するとお腹を下しやすくなるという一面もあります。とり過ぎには注意が必要です。
天然にも広く存在する糖アルコールの一種。
甘味料として、お菓子の原料にも幅広く用いられます。果物の中ではプルーンのほか、桃、梨、サクランボなどに多く含まれます。
ソルビトールは、口腔内で細菌や酵素による有機酸の生成がほぼ無く、虫歯の原因にはならない、といわれています。
プルーンは、ポリフェノールという植物特有の成分も豊富です。一部のポリフェノール類には抗酸化作用があり、DNAを損傷から守り、炎症を抑制するとともに、がんの予防にも有用と考えられています。
最近の動物実験では、プルーンの継続摂取は、結腸の善玉菌を増やして、結腸がんの発生リスクを低下させる可能性が示されました(*14)。
日本では、結腸と直腸を合わせた大腸がんは、女性のがん死亡数の第1位、男性の第3位です(*15)。高齢になるほど大腸がんになる割合が増していきます。